社会人になって初めて一人暮らしをしたアパートでの出来事。
働き始めたばかりで慣れない仕事と通勤に疲れて布団に入るとすぐ眠りにつく毎日が続いていたある日、真夜中に突然、風呂場の方からドアか何かをバンバン叩く音で目が覚めました。驚いて電気を付けるため起き上がろうとしたのですが、身体がピクリとも動かなく声も出ない。必死に起き上がろうともがいてる時もバンバンという何かを叩く大きな音が鳴り続けていました。
「あ、目は開けられる」そう思ったと同時になぜか「絶対に目を開けてはいけない!」という強い想いが込み上げてきて目を閉じたまま身体の力を抜いた瞬間、横になっている私の身体の上に何か重量のある柔らかい物体がのしかかって来たのです。
胸やお腹を圧迫する物体をどうにかしてどかそうとしても身体がまったく動かない。腕に力が入らない。どんどん息が苦しくなりもうダメだと限界に達しようとした時、最後の力を振り絞った時に「うゎ!」という声が出て掛布団ごとその物体を押しのけることが出来ました。
明らかに人体の感触をしたその物体は私の左腕に触れる場所にゴロンと転がり横たわった状態で止まりました。
これはヤバイ!と、でも目を開けなければ大丈夫だと…なぜかその時に確信したのを覚えています。
そしてそのまま意識が遠くなり、いつの間にか朝になっていました。
朝起きて風呂場を見に行くと普段は必ず閉めてあるドアが開いていて洗面器が浴室の外に飛び出していた光景は今でも忘れられません。